映画「ウィキッド ふたりの魔女」を深く味わった人ほど、心に残るのは壮大な魔法や政治的構造よりも、エルファバとグリンダという2人の関係性ではないでしょうか。
対立から始まり、理解へと変わり、そして異なる道へと分かれていくその過程は、単なる友情物語では語り尽くせない奥行きを持っています。
なぜエルファバとグリンダの間に友情が生まれたのか?
本記事では、物語構造・心理的要因・社会的背景という三つの視点から、その必然性を多角的に考察していきます。
目次
ウィキッドふたりの魔女/エルファバとグリンダに友情が生まれた理由
3月7日(金)ユニバーサル・ピクチャーズ映画『ウィキッド ふたりの魔女』がいよいよ公開!
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結論を書くと、2人の魔女に友情が生まれた理由は正反対だから。
詳しく解説します。
互いに欠けているものを持っていた関係
エルファバは強い知性と信念、そして理想を貫く勇気を持っています。
しかし彼女は、社会の中で立ち回る術や、人に好かれる振る舞いを身につけていません。
一方グリンダは、人から愛される軽やかさと適応力を持っていますが、当初は自分の信念よりも周囲の評価を優先する傾向があります。
この対照性は単なるキャラクター設定ではなく、物語を動かす構造的装置。
エルファバはグリンダの社交性から「別の生き方」を知り、グリンダはエルファバの信念から「自分の浅さ」に気づかされます。
互いに刺激し合う関係だったからこそ、反発はやがて理解へと変化しました。
反発は無関心ではなく強い影響の証
序盤の衝突は、価値観の違いを象徴しています。
しかし本当に重要なのは、その衝突が継続的な対話を生んでいる点です。
無関心であれば、距離を取って終わります。
けれどエルファバとグリンダは離れませんでした。
相手の言葉に傷つき、腹を立て、それでも向き合い続けます。
相手の存在が自分にとって無視できないものだったからです。
この「無視できなさ」こそが、友情の萌芽だったと考えられます。
友情が深まった理由は「他者の視線から解放された」から
🎊発表🎊
~最終章公開記念~
3月6日🪄地上波初放送
『#ウィキッド ふたりの魔女』「オズの魔法使い」に登場する西の悪い魔女・エルファバと善い魔女・グリンダの知られざる友情が描かれたミュージカル・ファンタジー🎵 pic.twitter.com/rjRvKwuGne
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ラベリングという共通の拘束
エルファバは「異質な存在」として周囲から見られ続けています。
彼女の外見は常に先入観を伴い、本質を見ようとする視線はほとんど向けられません。
一方グリンダも、「完璧な人気者」という役割を背負っています。
周囲の期待を裏切らないように振る舞うことで、無意識のうちに本心を抑え込んでいます。
2人は立場こそ正反対ですが、「他者の視線に規定されている」という点では同じ構造の中にいます。
初めて安心できた関係
2人が心を通わせた決定的な瞬間は、互いを役割ではなく一人の人間として見たときでした。
エルファバはグリンダの弱さを否定しませんでした。
グリンダもまた、エルファバを恐れや噂で判断するのではなく、直接向き合おうとします。
人は、自分を正しく理解しようとしてくれる存在に対して深い信頼を抱きます。
それは同情ではなく、対等な理解です。
この対等性があったからこそ、2人の関係は一時的な同盟ではなく、感情を伴った友情へと発展しました。
ウィキッドふたりの魔女/友情を強固にしたのは共有体験の積み重ね
ウィキッド ふたりの魔女
生まれつき肌の色が緑で“みんなと違う”というだけで、父親からは嫌われて、学校でも虐められて……
でもみんなとは違うすごい才能を持っている。なのに誤解されて…「悪」に仕立てられる(こういう展開、苦手…)
第二部にはエルファバに救いはあるの…???#ウィキッド pic.twitter.com/XUZ71IFGFv
— ハンナ (@HANNA99_movie1) December 30, 2025
近距離の時間が生んだ変化
同室生活という環境は、エルファバとグリンダに逃げ場を与えませんでした。
生活の細部まで共有することで、理想や表面的な態度では隠せない本質が見えてきます。
小さな会話、何気ないやり取り、時には沈黙。それらの積み重ねが、ゆっくりと相互理解を深めました。友情は劇的な事件だけで生まれるものではありません。
日常の反復の中で育つものです。
リスクを伴う選択が信頼を証明した
グリンダがエルファバに歩み寄ることは、自分の立場を危うくする可能性を含んでいました。
それでも関係を続けるという選択は、単なる気まぐれではありません。
リスクを伴う行動は、本気度の証明でもあります。
その積み重ねが、2人の間に揺るがない信頼を築きました。
友情が本物になった理由は「異なる選択を尊重できた」から
理想と現実の分岐
物語後半、エルファバとグリンダは決定的な選択を迫られます。エルファバは理想を守るために孤立を選びます。
グリンダは社会の中で影響力を持つ道を選びます。
この分岐は、友情の終わりを意味してもおかしくありません。
しかし実際には、その違いがむしろ関係の深さを際立たせます。
完全な理解ではなく、尊重
重要なのは、エルファバとグリンダが完全に同意しているわけではない点です。
意見は異なりますし、立場も違います。
それでも相手の選択を否定しきれない。
ここに成熟した友情の形があります。
価値観の一致ではなく、違いを抱えたまま共存する姿勢。
それは簡単ではありませんが、だからこそ重みがあります。
私たちが心を揺さぶられる理由は「叶わなさを含んでいる」から
永遠ではないからこそ尊い
観客がエルファバとグリンダの関係に強く感情移入するのは、この友情が永遠ではないとわかっているからです。
状況や立場の変化が、同じ場所に留まることを許しません。
人生においても、多くの友情は形を変えます。かつては隣にいた人が、違う道を歩むこともあります。
その現実を私たちは知っています。
自分自身を重ねてしまう物語
エルファバの孤独にも、グリンダの迷いにも、どこか共感できる部分があります。
だからこそ、2 の選択に胸が締めつけられます。
この物語はファンタジーでありながら、人間関係の本質を描いています。
善悪を超えた場所にある理解と尊重。その描写が、私たちの心を強く揺さぶるのです。
まとめ
エルファバとグリンダに友情が生まれた理由は、
- 正反対だからこそ補い合えた
- 他者の視線から解放される関係を築けたこと
- 共有体験を重ねたこと
- 異なる選択を尊重できたこと
2人の友情は偶然ではなく、構造的にも心理的にも必然でした。
対立から始まり、理解へと変わり、別々の道を選びながらも心のどこかでつながり続ける関係。
それは理想化された友情ではなく、現実の複雑さを含んだ成熟した絆です。
だからこそ「ウィキッド ふたりの魔女」は、単なる前日譚ではなく、友情とは何かを問い直す物語として強い余韻を残します。
2人の関係は、私たちに「違いを抱えたまま人を尊重できるか」という問いを静かに投げかけているのです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
