ミツバチがいなくなる原因は農薬や気候変動?失踪・大量死についても

養蜂

ある日、みつばちの巣箱を開けたら何万匹もの蜂の姿が消えていた!?いったいどこへ?

実はこれ、私が数年前に1度だけ経験したことです。私は小規模ですが養蜂をしています。こんな経験をしたのはそのとき初めてでした。

2006年ころからアメリカでみつばちが突然いなくなる現象がニュースになり、日本でも2009年ころ大きな問題になりました。このようにみつばちが突然姿を消したり大量死する現象を蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder、略してCCDとも)といいます。この問題は世界中でいまだに見られ、養蜂家や農家を悩ませています。

ここではみつばちが突然いなくなったり大量死する現象について考えます。日本や世界のみつばちの失踪の現状や、考えられる原因についてまとめました。農薬だけが原因なのでしょうか?

なおここでいうみつばちとは西洋みつばちのことです。

 

みつばちがいなくなる蜂群崩壊症候群とは?

蜂群崩壊症候群が起きたみつばちの群にはこんな様子がみられると言われています。

  • 働き蜂、オス蜂のほとんど、またはすべてがいなくなる。
  • 巣の中や付近に蜂の死がいが見当たらない。
  • さなぎ、幼虫、花粉、蜜などは巣にそのまま残る。
  • 天敵のオオスズメバチの攻撃は考えにくい。

私のところでもこれと同じ様子でした。なお女王蜂はいなくならず巣に残っていることが多いらしいですが、うちでは女王蜂もいなくなっていました。

この現象を経験したのはたしか数年前の10月。エサは不足していませんでしたし、天敵のオオスズメバチやダニによる群れの崩壊とは考えられませんでした。もちろん寒さで死んだということは考えられません。あの時いなくなった原因が蜂群崩壊症候群であったかどうか、判断できません。
とにかくいなくなった理由がまったくわからないのです。

なにより死がいが巣の中や周辺で見つからないのですから、まったく意味不明の現象に感じられました。

みつばちがいなくなる現象:日本の現状は?

日本では2008年ころからみつばちの減少が問題になり、テレビや新聞などで取り上げられました。花粉交配用みつばちの群数は2007年に38,592群だったものが、翌2008年には33,220群に。約14%減ったことになります。

ただ日本では蜂群崩壊症候群の例は報告されていたものの、みつばちの数が減ったのは他にも原因があると考えられていました。最も大きいのはオーストラリアからみつばちが輸入できなくなったことです。この時期オーストラリアでみつばちの病気が見つかったためです。病気が出た国からの西洋みつばちの輸入は一切できなくなるのです。

またみつばち減少は農薬が原因、という専門家もいましたがはっきりとした原因はいまだに特定できていません。そもそも農薬メーカーは、みつばちの減少に農薬が関わっていることは否定しています。商売だから当たり前なのですが・・・

その後日本では蜂群崩壊症候群の例はあまり聞くことはありません。みつばちの数も落ち着き、私の知り合いや掲示板を通じて情報交換している養蜂家からも蜂群崩壊症候群について聞くことはありません。

みつばちがいなくなる現象:海外の現状

海外に目を向けるとみつばちの大量失踪や減少はかなり深刻です。

例えばこちらの記事にはフランスのみつばち減少について書かれています。フランスではみつばちの数が減り、養蜂業そのものが危機に瀕しているといいます。2016年、2017年ははちみつが不作で、2016年には前年の半分以下しかはちみつが収穫できなかったといいます。そして2017年は過去最低の収穫量を記録しました。

1990年代のフランスでは、平均5%ほどでみつばちの大量死が起きていました。ところが近年30%の群でみつばち大量死が起きている、と書いてあります

同じようなアメリカでもみつばちの大量失踪が問題になっています。2006年からみつばちの大量失踪が報告されるようになり、ここ10年を見ても、高い水準でみつばちの減少は続いています。2012年ころからは、みつばちの群は40%減っているという状況が続いているようです。

さらにロシアでも同じような状況で、国内の90%の養蜂家がみつばちの失踪や大量死の影響を受けている、ということです。同じようにみつばちの大量失踪はベルギー、イタリア、ドイツ、スペインなど養蜂が盛んなヨーロッパ諸国で報告されています。

これらすべてが蜂群崩壊症候群が原因かは特定されていませんが、みつばちの失踪、減少は世界中で起きている現象で、かなり深刻なようです。

日本ではそういった報告がないので、なぜ海外でそういった現象が起きているのか、われわれ養蜂家の仲間でも不思議に思っているのです・・・

みつばちの失踪や大量死に考えられる原因

蜂群崩壊症候群にはいくつかの原因が指摘されています。ただ蜂群崩壊症候群自体がまだどのようにして起きるのか解明されておらず、原因ははっきりとは特定されていません。

ここではこれまで指摘されてきた主な原因についてみていきます。

農薬

みつばち失踪についてかなり早い段階から原因と考えられてきたのが農薬です。とくにネオニコチノイドがみつばちの失踪や大量死にかかわりが深いと指摘されてきました。ネオニコチノイドはみつばちの中枢神経系を直接攻撃するため、大量失踪に関係があるというのです。

ではネオニコチノイド系農薬がすべて悪いのか、といえばそうは言いきれません。EUではネオニコチノイドの使用に規制が進み、2018年にネオニコチノイド主要5種のうち3種を原則使用禁止。フランスにいたっては2018年9月からネオニコチノイドは一部の例外を除き全面使用禁止としました。

それなのにフランスでは今でもみつばちの減少は続いていると聞きます。もしネオニコチノイドが原因なら減少に歯止めがかかっていいはずです。フランスでは2020年には例外使用規定が廃止され、ネオニコチノイドは全面禁止になります。もう少し様子を見て判断する必要があるでしょう。

現状はネオニコチノイドを疑う余地はあるが、主犯と言えるほどの根拠はまだ見つかっていないということかもしれません。

なおネオニコチノイドがみつばち失踪や減少の原因とする専門家がいる一方で、国内外の農薬メーカーはその説を否定しています。

携帯電話の電磁波

携帯電話の電波の電磁波がみつばちの方向感覚を失わせ、巣に帰れなくしてしまうという説があります。

1990年代から急激に携帯電話の基地局が増えて、多くの人が携帯電話を使うようになりました。以前はみつばちの失踪が少なかったことを考えると、原因のひとつと言えるかもしれません。

ただ私が電磁波原因説に納得がいかないのは、蜂群崩壊症候群では内勤蜂も姿を消しているのですが、そのことに説明がつかないということです。みつばちは生まれて2週間くらいは外に出ず、巣の中で生活します。蜂群崩壊症候群は外に出ることがない内勤蜂もいなくなるのです。ということは電磁波がみつばちの帰巣本能を狂わせて蜂群崩壊症候群が起きる、というのは説が成り立ちません。

気候変動

気候が大きく変わったことがみつばちの大量失踪や消失の原因という説もあります。

例えば温暖化でこれまで通り植物が育たなくなり、花が少なくなりみつばちが餌を十分集められなかったり、冬の気温が高くなったことで早めに花が咲いてしまい、みつばちが増えるころには花がなくなり、花粉や蜜を集められずみつばちにストレスを与えている、というものです

気候変動やこれまで経験しなかった異常気象がみつばちに与える影響は大きいと考えられます。特にこれまで生えていた植物がなくなり、蜜源にならない別の植物が増えればこれまで通りみつばちは育たなくなりますから。

ただ気候変動や異常気象も、まだはっきりとした原因とは特定できていません。みつばち飼育はまわりの環境に大きく左右されるので、原因のひとつかもしれませんが、もう少し研究が必要かと思います。

考えられる他の原因

みつばち大量失踪の原因は、他にも

  • ウイルス説
  • ダニ説
  • 遺伝子組み換え作物説
  • 長年のみつばち酷使による遺伝子の劣化

などさまざまなものが指摘されました。しかしいずれにも否定する意見があり、原因はまだ解明されていません。複合的な原因とも考えられます。

まとめ

みつばちの大量失踪や減少の現状や原因についてみてきました。

もしこの地球上からハチが消えたなら、人類は4年しか生きられない。

アインシュタインがいった言葉と言われていますが、彼がこう語ったという記録や資料はありません。

しかしみつばち減少のため農作物の生産に影響が出ているのは事実です。今後自然界の植物にも影響を及ぼす可能性もあります。原因が究明できないみつばち失踪は決して楽観できる問題ではないのです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

タイトルとURLをコピーしました