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アリスとテレスのまぼろし工場/幻の世界はなぜ生まれた?最後に消滅したかについても

アリスとテレスのまぼろし工場

岡田麿里さん脚本・監督作品の「アリスとテレスのまぼろし工場」。

見伏市という架空の街を舞台にしたファンタジーです。

さて、本作品に登場する菊入正宗や佐上睦実は実在の存在ではなく、まぼろしの世界の住人です。

なぜ幻の世界は生まれたのでしょう?

今回は「アリスとテレスのまぼろし工場」で、幻の世界が生まれた理由を考察します。

最後に幻の世界は消滅したかについても考察します。

 

「アリスとテレスのまぼろし工場」幻の世界はなぜ生まれた?

製鉄所の火災がきっかけで幻の世界は生まれた

幻の世界が生まれたきっかけは製鉄所の火災。

古来より、見伏市は新見伏製鉄により支えられてきた街です。

学校を卒業した住民のほとんどが製鉄所に就職するほど、製鉄所は見伏にとって欠かせないもの。

菊入正宗の父親や叔父も、新見伏製鉄で働いています

 

しかし、主人公・菊入正宗が友人たちと受験勉強をしていたある晩、製鉄所が火災に。

これがきっかけで、正宗たちは幻の世界の住民になってしまったのです。

見伏神社の神からのバチがあたった?

では、なぜ幻の世界は生まれたのか?

1つ目の理由は、見伏神社の神からのバチが当たったという説。

産業革命の時代から、見伏の人たちは上坐利山(かんざりやま)でとれる鉄の恩恵を受けてきました。

現代でも、住民たちは製鉄所で働くことで、上坐利山からの恵みを享受しています。

しかし、地元の神社である見伏神社で崇めるのは上坐利山そのもの。

つまり鉄を採掘するということは、神そのものを削ることに等しいのです。

神を削ってきたので罰が当たり、幻の世界が生まれたという理由です。

 

ですが、バチがあたったという説は佐上睦実の義父・佐上衛(さがみまもる)が唱えたもの。

衛は製鉄所従業員ですが、見伏神社の社家も兼ねています。

幻の世界が生まれたという、何とも説明が付かない状況下で、「不思議なことを、無理やり理屈づけた」ことで、周囲から信頼されただけの人物に過ぎません。

衛は、見伏神社の社家という立場をうまく利用して、見伏市の住民たちの中心になりたかったのだと考えられます。

「バチが当たった」とはもっともらしいですが、佐上衛の都合のいい説のように思えます。

見伏神社の神が見伏の一番いい時を残しておきたかった?

幻の世界が生まれた2つ目の理由は、見伏神社の神が見伏の一番いい時を残しておきたかったというもの。

正宗の祖父・宗司が話していた説ですね。

作品後半、宗司は「この世界が、バチが当たって出来たとは思わん」「見伏の神さんは、みんなに一番褒められたいい時期を、写真に撮って、残しておきたかったんだろう」と正宗に話します。

いい時期とは、製鉄所が何の問題もなく稼働し、見伏がにぎわっていた頃だと思われます。

恵みをくれる伏見神社の神様に、住民たちは深く感謝していたはず。

ですが現実の世界では、火事が起こったことで製鉄所は操業停止し、街は廃れてしまいます。

幻の世界に比べて、現実の世界はむしろ退化しているように見える、という描写もあるほどです。

 

菊入宗司が言う通り、伏見神社の神様は見伏のよかったころを残しておきたくて、幻の世界を作ったのかもしれません。

もしそうだとしたら、神の気まぐれと言わざるを得ませんが。

正宗や睦実たちは進学することも、恋愛や結婚をすることも許されないのですから。

幻の世界が生まれた理由は小説では説明されていない

結局のところ、幻の世界が生まれた理由は小説では説明されていません。

なぜ生まれたかについては、わからないのです。

答えは観客に委ねられているのかもしれません。

 

幻の世界は最後に消滅した?

作品中盤、菊入時宗は集まった人々を見回して、「この世界の終わりは遠くない」と話します。

幻の世界は最後に消滅するのでしょうか?

幻の世界は消滅したと考えられる

幻の世界は、最後に消滅したと考えられます。

作品後半、見伏の空には、ひび割れが出現。

やがて空だけに存在したひびが街の至るところに現れ、そこからは同じ場所の現実の見伏の景色が見えるようになります。

ひびが発生するということは、幻の世界が崩壊しつつある証拠。

五美が現実の世界に帰った直後に、幻の世界は消えたと考えられます。

自分たちが現実の存在でないことにうすうす気づいていた

もともと、幻の世界で暮らす見伏の人たちは、自分たちが現実の存在ではないことにうすうす気が付いていました。

痛みも寒さも感じず、時間が経過しても歳を重ねることはなく、何も変わらない日々が続くのですから、現実ではないことに気が付くのは当たり前のこと。

でも神様に許されて、いつか外に出られる日が来るという嘘を信じ込まされていたのです。

いつか現実に帰れるという希望を捨てないために、信じたふりをしていただけかもしれませんが。

ひび割れが増えたのは五美が正宗を恋をしたから

幻の世界にひび割れが増え、その後消滅に繋がったのは、五美が正宗に恋をしたから。

面倒を見てもらっているうちに、五美は正宗のことが好きになります。

ところがある日、五美は正宗と睦美がキスしているところを目撃。

「仲間はずれになった」と、五美の心は大きく揺れます。

睦美は「神の女は、人を好きになったら、力を失ってしまう」と表現していました。

 

変わってはいけない世界で、現実の存在である五美の心が大きく変化すれば、世界が変化するのは当然のこと。

五美が正宗の恋をしたことが、幻の世界の消滅に繋がっていたのです。

 

まとめ

幻の世界が生まれた理由は

  • きっかけは製鉄所の火災
  • 見伏神社の神からのバチがあたったという説もあるが、見伏神社の神が見伏の一番いい時を残しておきたかったという理由の方が有力

幻の世界の最後については

  • 消滅したと考えられる
  • 五美が正宗を恋をしたことが消滅に繋がった
  • 見伏の人たちは、自分たちが現実の存在ではないことにうすうす気が付いていた

最後までご覧いただきありがとうございました!

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