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三度目の殺人/咲江の足の怪我は嘘なのか?靴の汚れから犯人を考察!

三度目の殺人

是枝裕和監督の映画「三度目の殺人」を鑑賞。

鑑賞後のダメージがこれだけ大きい映画は久しぶりです。

モヤモヤが残りましたからね。

犯人探しが目的で作った映画ではないようですが、それでも真実はどうだったのか知りたくなります。

ここでは「三度目の殺人」の咲江(広瀬すず)の足に注目します。

咲江は自分の足の怪我の理由について嘘を言っているのでしょうか?

また彼女の靴についた汚れから、山中殺害の犯人がだれなのかを考察します。

 

「三度目の殺人」咲江の足の怪我は嘘なのか?

咲江の足の怪我に注目する理由は?

咲江は左足に障害があり、いつも左足を引きずって歩いています。

咲江の足の怪我に注目する理由ですが、咲江に虚言癖があるかを判断するためです。

重盛(福山雅治)が三隅(役所広司)に接見した際、三隅は咲江について

「あの子、よく嘘を吐くんですよ」

と言います。

嘘を吐くのであれば、父親殺しに関わっている可能性があります。

またその接見のシーンの直前に、三隅と咲江が山中を殺し遺体を燃やすシーンが映し出されます。

このシーンが事実なのかどうかはわかりません。

しかし犯人を特定する判断材料にはなります。

咲江に虚言癖があり重盛たちにも嘘をついているなら、咲江が自分の父親である山中を殺害した、あるいは殺害に加担した可能性も考えられるからです。

咲江の足の怪我の状態について映画でわかっていること

咲江の左足の怪我(障害)について、映画では以下のことがわかっています。

  • 本人:子どものころ工場の屋根から飛び降りて怪我をしたと話している
  • 周囲の者たち:飛び降りて怪我したと聞いている
  • 川島弁護士の調査:生まれつき足が悪い

川島の調べでは、咲江は生まれつき足が悪い事がわかっています。

しかし本人は周りの人に子どもの頃飛び降りて怪我をしたと聞いているようです。

重盛は「なんでそんな嘘つくんだ」と疑問に思いますが、本当のところはわかりません。

いずれにしても咲江の足の怪我について、本人の言っていることと川島の調査に食い違いがあるのです。

咲江は自分の足について嘘を言っているのでしょうか?

咲江が重盛に話したこと

ここで咲江が重盛の事務所に行った際、話したことを整理します。

咲江は三隅の罪を軽くするため、裁判で証言するつもりがあると重盛に言います。

そして咲江は14歳のときから父親から性的虐待を受けていたこと。

三隅と始めたあった際そのことを打ちあけたこと。

その後三隅と会うようになり、男女の関係になったこと。

咲江は心のどこかで父親を殺したいと思っており、その気持ちが三隅に伝わり三隅は咲江の父親を殺した、と思っていることなどを話します。

 

このとき重盛は咲江に

「検察はいろんなことを聞いてくる。君の証言に信ぴょう性がないことを証明するために。足の怪我のこともきっと聞いてくる。子どものころ、屋根から飛び降りて怪我したってまわりに嘘ついてる」

と言いますが、咲江は「嘘じゃありません。飛び降りたんです」と答えます。

咲江は足の怪我について嘘をついているのでしょうか?

咲江は足の怪我について嘘をついている?

ここからは私の考察です。

咲江が屋根から飛び降りて足に怪我をしたと言っていることは嘘ではない、と考えています。

咲江は自分の足の怪我(障害)について本当のことを言っており、三隅が言うような虚言癖もない、というのが私の考えです。

咲江は14歳の頃から父親から性的暴力を受けていたことを重盛に打ち明けます。

ここからは私の推測も入りますが、娘に性的暴力をするような父親なら幼少期から虐待を加えていた可能性が高いと考えられます。

咲江は小さい頃、父親の虐待から逃げるために工場の屋根から飛び降りて、足を怪我したのではないでしょうか。

若手弁護士の川島が咲江は生まれつき足が悪い、と聞いたのは咲江の母、つまり殺された山中の妻からだと思われます。

山中の妻は娘と夫の関係を見て見ぬ振りをしていました。

夫が娘に性的暴行をするのは夫だけではなく娘にも責任がある、ということを暗にほのめかすシーンもありました。

そんな母親ですから、世間体を考え周囲には咲江は生まれつき足が悪いと言った可能性があります。

父親の虐待から逃げるために娘が屋根から飛び降りた、というのは世間体がよくありませんから。

改めて結論を書くと咲江は足の怪我の原因について嘘はついていない、というのが私の考えです。

なぜ三隅は咲江に虚言癖があると言ったのか?

咲江には虚言癖はないと私は考えています。

足の怪我について嘘を言っているのは世間体を気にする親の方で、咲江が屋根から飛び降りたという方が信ぴょう性が高いです。

ではなぜ重盛との接見で、三隅は咲江はよく嘘を吐くといったのでしょうか?

それは咲江を守るためです。

咲江が裁判で証言することで、検察から父親からの性的暴行、さらには自分自身との関係についていろいろ聞かれて咲江が傷つくのを防ぎたかったのです。

 

30年前に殺人事件を起こしたことで音信不通になってしまいましたが、三隅には足の悪い娘がいました。

三隅は最初に咲江に会ったときから自分の娘と重ねてみていたのでしょう。

三隅にとって咲江は離ればなれになった娘同然だったのかもしれません。

三隅は娘が小さい時に2人で雪でケーキを作りましたが、それとまったく同じことを咲江にしています。

三隅にとってそれだけ咲江は大切な存在でした。

咲江が証言台に立つことで傷つくことがないように、重盛に「あの子はよく嘘を吐く」と言ったのです。

咲江の靴の汚れから咲江の父を殺した犯人を考察

今度は咲江の靴の汚れから犯人について考察します。

咲江が三隅の殺人を手伝った可能性は?

ネット上に咲江が父親殺しに関わっているのでは、という書き込みがありました。

重盛が咲江の家を訪れたとき、咲江の左足のつま先あたりが黒くなっていました。

この汚れは咲江が殺害現場にいたことで靴が焼けたのではないか、というのです。

咲江は三隅の犯罪に関わっているのでしょうか?

この点について考えてみます。

三隅は咲江の父親が経営する会社に勤務していたとき、金庫から金を盗みクビになります。

三隅は咲江の父親を河川敷に呼び出して殺害したといいますが、金を盗んでクビにした人間の呼び出しに応じる人間がいるとは思いません。

 

ではだれが呼び出したのか?咲江が呼び出した可能性が考えられます。

咲江は父親から性的暴力を受けており、心のどこかで殺したいと思っていました。

咲江が父親を呼び出したことで三隅の犯罪を手伝ったと考えることができます。

映画の中で咲江が三隅と父親を殺害し遺体を燃やす場面が流れるので、このように考える方がいても不思議ではありません。

でも私はこれに関してまったく違う考えを持っています。以下で説明します。

咲江は父親殺しに関わっていない

私は咲江は父親殺しには関わっていない、と考えています。

まず靴の汚れについてですが、咲江は左足が不自由でいつも引きずって歩いています。

左足のつま先付近が黒くなっているのは、足が悪く引きずって歩くので単に土がついたためと考えられます。

もし遺体を燃やしたとき焼けたのであれば、左足のごく一部ではなくもっと広い範囲が黒くなるはずです。

また咲江が父親を呼び出した件ですが、三隅が食品偽装の話を持ち出し咲江の父親を呼び出したと話しています。

咲江の父の会社はこれまで食品偽装をしており、そのことをネタに三隅は咲江の父親を河川敷に呼び出しました。

食品偽装は事実であり、三隅のこの証言は信ぴょう性が高いです。

以上の理由から私は咲江は父親殺しには関わっていない、と考えています。

まとめ

  • 咲江は足の怪我について嘘は吐いていない
  • 三隅が咲江がよく嘘を吐くといったのは咲江を守るため
  • 咲江は父親殺しに関わっていない

この映画は犯人探しのためのものではありません。

人が人を裁くとはどういうことなのか?裁判とはなにか?をテーマにしている映画です。

しかしあそこまで見せられたら、犯人がだれなのかはっきりしてほしいですよね。

いろいろ書いてきましたが、本当のところはわからず推察するしかありません。

それを含めてこの映画の楽しみ方なのかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

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