うちでは盲導犬候補の犬を育てるパピーウォーカーをやったことがあります。1頭だけでしたが、栃木盲導犬センター(現在の東日本盲導犬協会)からメスのラブラドールレトリバーを預かり、1歳まで育てました。
パピーウォーカーをやったのはずい分前のことですが、当時の記憶や心境は鮮明に覚えています。
「きっと別れがつらいでしょ?」「私には多分できない。別れがつらいから」・・・パピーウォーカーをやっているころ、よくこんなことを言われました。
そこで実際にパピーウォーカーをやった私が、犬との別れが近づいてきたときどのように感じていたか、まとめました。返したくないと思うほど悲しいのでしょうか?それとも別れについて納得しているのでしょうか?本音と体験談を書いていきます。
これからパピーウォーカーをやってみたい方や、現在子犬を預かっていて犬との別れが不安に思っている方の参考になればうれしいです。
目次
別れが近づいてきた!と感じるのはいつ?
うちで預かった犬の誕生日は3月27日。5月23日に生後2か月弱で子犬を預かり、翌年の誕生日辺りに盲導犬センターに返すことになっていました。
別れを強く意識し始めたのは年が明けて1月になってからです。残り3か月を切っていっしょに過ごす時間が少なくなったことを強く意識するようになりましたね。
預かったばかりの頃は大変です。暴れるし、いたずらするし、言うこと聞いてくれないし。でも生後半年を過ぎたころから少しずつ落ち着き始め、生後7か月位からかなり平和な(?)日々が過ごせるようになります。
ようやくいい子になってくれたかな?と思っていると残り3ヵ月。面倒を見てあげられるのはもう少しなんだな、って実感するように。
そして残り1ヶ月を過ぎると毎日泣いていました。犬の顔を見るたびに泣いていましたね・・・
別れの日はいつどのように知らされる?
預かった犬を返す日をいつ頃知らされるかは、盲導犬育成団体によって違うようです。
私の場合、3月半ばになってようやく知らされました。1歳の誕生日の10日くらい前のことでした。それまで知らせてくれないのですから、かなりのんびりしていたということですね(今はどうか知りませんが)。2ヶ月くらい前に「何月何日に返してください」と言われる団体もあるようです。
栃木盲導犬センターでは当時2週間に1回、日曜日の午後2時から1時間、パピーウォーカー研修会をやっていました。3月31日に研修会があるので、それに参加したら犬をセンターにおいて帰ってくる、ということになりました。
そうなったらもう待ったなし!泣いても騒いでも2週間しかないんですから。
では別れを直前に控えて、パピーウォーカーはどんな心境になるのでしょうか?
子犬を返したくないくらい悲しい?別れを直前に控えたパピーウォーカーの本音と体験談
預かった犬と別れるのはつらいです!本当につらいし悲しい!!
預かった日から10か月後に別れるのをわかっていたはずなのに、なんでこんなにつらいんだろう・・・だってもうずっと会えないんですから。まさに愛別離苦、愛する者との別れは苦しいし悲しい・・・
ただ私は返したくない!とまでは思いませんでした。
ではなぜ返したくない、とまでは思わなかったのか?いま冷静に振り返ると3つの理由がありました。その3つの理由を書きますね。
理由その1:悲しい別れではないから
パピーウォーカーの元を離れ、盲導犬センターに帰る犬たちには輝かしい未来が待っています。これから訓練を受けて、盲導犬になる犬もいますし、盲導犬にならなくても一般の家庭にペットとしてもらわれていきます。
そこには新たな生活が待っています。前途洋々です。
盲導犬候補犬の進路はしっかりしている点も安心でした。盲導犬になるにせよ、一般の家庭に行くにせよ、盲導犬センターがこの人だったら預けてだいじょうぶ、という人の元にいきます。無責任な人にところにはいくことはないのです。そこで幸せに暮らしてくれれば十分。
「この子が自分のことを忘れても構わない。むしろ自分のことは早く忘れて、新しい主人にかわいがってもらえればいい」
素直にそう思っていました。別れはつらい、でも悲しい別れではないんです。笑ってお別れすることはできませんでしたが、返したくないとは思いませんでした。
理由その2:里親として精一杯のことをした
「里親としてできるだけのことをやった」
別れが近づいたとき、こんなことを思いました。飼い主としてはダメダメだったかもしれないけど、愛情をこめて育ててきました。
犬を預かるとき「気持ちのやさしい子に育ててください」と担当者から言われました。自分ではこの課題もクリアできたと思いました。また預かったパピーが人を好きになるように、と願って育ててきましたが、それもできたと思っていました。
10ヵ月間精一杯のことをやったので悔いはない!だから別れは悲しかったけど、別れたくないとは思いませんでした。
理由その3:預かった日からすでに別れがあることを理解していた
パピーウォーカーの日々は永遠ではありません。10ヵ月という短い期間です。
預かったその日から、10か月後に必ず別れがあることは理解していました。盲導犬にならなかった時、うちでその子をペットとして引き取ることもできますが、最初から引き取るつもりもありませんでした。
だからこの子といっしょに過ごす時間は10ヵ月だけ。預かるときにそう決めていました。
里親の仕事は預かった子犬を愛情を込めて育て、1歳になったら返すこと。そう思っていたので、別れはつらかったけど返したくないとは思いませんでした。
まとめ
子犬との別れはつらかったです。でも以上の3つの理由から返したくない、とまでは思いませんでした。
パピーウォーカーを経験した人によって思うところは違うでしょう。あくまで一個人の意見として参考になればうれしいです。。
パピーウォーカーはすばらしい体験ができるボランティアです。興味がある方は各地にある盲導犬育成団体に問い合わせてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!