映画「空の青さを知る人よ」は「あの花」「ここさけ」に続く「超平和バスターズ」の3作目です。
吉岡里帆と吉沢亮、松平健らが声優を務めることでも話題になっていますね。
さて「空の青さを知る人よ」はファンタジーの要素が入った映画です。
慎之介の生霊(18歳のしんの)が現れたり、しんのとあおいが空を飛んだりする場面が出てきますからね。
なぜ現在31歳の慎之介の生霊・18歳のしんのが現れたのでしょうか?
またなぜ映画の最後でしんのの生霊は消えてしまったのでしょうか?
その理由を考察します。
目次
「空の青さを知る人よ」でしんのの生霊が現れた理由を考察
この映画の大きなポイントは、あかねのかつての恋人・慎之介が久しぶりに秩父に帰ってくること。
そして時を同じくしてお堂でギターの練習をしているあおいの前に、13年前の世界からやってきた18歳のしんのが現れることです。
慎之介(31歳)としんの(18歳)は年齢こそ違いますが同人物です。
この場合、しんのは生霊と考えるのが一般的でしょう。
目にはっきりと見えますし会話もできますし、触れることもできるので「霊」というのはちょっと奇妙ですが、他に説明のしようがないので、しんのは生霊ということで話を勧めていきます。
しんのの最後の記憶を整理
「空の青さを知る人よ」
聖地巡礼 pic.twitter.com/3n7NAYkt3x— さくらニャンコ (@sakurayuji1) September 19, 2019
まずあおいの前に現れたしんのの記憶を確かめてみましょう。
しんのの最後の記憶は13年前。あかねにいっしょに東京の専門学校に行くことを断られた日の記憶です。
あかねとしんの(慎之介)はすでに一緒に東京の専門学校に行く約束をしていました。
しかし両親が交通事故で死んだため、あかねは東京には行かない決断をします。
あかねはお堂の前で、しんのに一緒に東京にはいけないことを伝えます。
あかねが帰った後、しんのはお堂に入り一人で考え事をしていました。
「とりあえず東京に出てビッグなミュージシャンになり、あかねを派手に迎えに行く」と決心して、あかねスペシャルを封印します。
それがしんのの最後の記憶です。
気がついたら13年後の世界にいて、あおいを顔を合わせたのです。
年齢と記憶だけは変わらず、まるで浦島太郎のように
なぜしんのの生霊がお堂に現れたのか?理由を考察
なぜしんのの生霊がお堂に現れたのか、3つに理由を考えました。
お堂とあかねスペシャルに18歳のしんのの気持ちが強く宿っていたため
「東京に出てビッグなミュージシャンになり、あかねを派手に迎えに行く」という決意の証として、しんのはあかねと一緒に買ったギター・あかねスペシャルをお堂に置いていきます。
おそらくその時、18歳のしんのの気持ちがお堂とあかねスペシャルに強く宿ったのではと考えます。
お堂はしんのや正道、番場、阿保が高校生の頃、いつもバンドの練習をしていた場所でした。
あかねが作った昆布のおにぎりを食べながら、ビッグになる夢を見てひたすら練習に励んだ思い出の場所です。
また貯めたお金であかねといっしょに買いに行ったギターは、あかねスペシャルと名付けるほどしんのにとって思い入れがあるギターです。
「絶対成功してあかねを迎えに来る!」という強い気持ちをお堂とあかねスペシャルに込めていたので、年も取らない、記憶も変わらないしんのがその場所に生霊となって現れたと考えられます。
秩父やお堂から出ていくのを怖がっていたため
しんのは「東京に行きビッグなミュージシャンになる」と強く願う一方で、秩父やお堂から出ていくのを怖がる気持ちがありました。
「ほんとは俺、どっかでここから出てくの、怖がってんのかもな」というセリフがその気持を裏付けています。
18歳のしんのは将来の大きな夢を抱く一方で、大きな不安がありました。
それはあかねがついてきてくれないことです。しんのの夢はすべてあかねがいることが前提でした。
あかねがいないまま秩父やお堂から出ていくことは、彼にとって怖いことだったのでしょう。
しんのがお堂から出ようとしても出られないことが、彼のここから出ていくのが怖い気持ちを裏付けているように感じます。
なぜしんのの生霊が今になって現れたのか?
しんのはそんな強い気持ちをお堂やギターに残していたのに、なぜこれまで生霊として現れず、13年経った今になって生霊として現れたのか?
その理由は東京から13年後の自分、慎之介が秩父に帰ってきたからです。
慎之介は大きな夢を抱いて上京しますが、その夢は叶わないままです。
秩父 にいるあかねを胸を張って迎えに来ることもできません。
フェスティバルで地元に帰ってくることになりましたが、演歌歌手のバックミュージシャンとしてですから、彼が望んでいたものには遠く及びません。
惨めな気持ちを抱えて秩父に帰ってくることになったのです。
生霊のしんのは、そんな慎之介に対して活を入れる目的で現れたのかもしれません。
未だに一人でいるかつての恋人あかねと、13年後の自分・慎之介を結びつけたい気持ちもあったでしょう。
お堂で31歳の慎之介と対面した18歳のしんのは「ビッグなミュージシャンになって、あかねを奪いに来るはずじゃなかったのかよ、お前!」と言っていることも、これらの理由を裏付けています。
また31歳の慎之介とお堂に閉じ込めた18歳のしんのの思いが共鳴したのかもしれません。
いずれにしても東京から31歳の慎之介が帰ってきたため、お堂にしんのの生霊が現れたと考えることが出来ます。
「空の青さを知る人よ」なぜラストでしんのの生霊は消えたのか?
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がけ崩れの現場からあかねが助けられた後、あかね、慎之介、しんのは車に乗り、秩父ミューズパークに向かいます。
後部座席に乗っていたしんのはいつの間にか眠っていました。
その間2人は会話を交わしますが、あかねは「今度、ツナマヨのおにぎりでも、作ってみようかな」と慎之介に言います。
あかねはわざと遠回しな表現で、やり直す気持ちがあることを慎之介に伝えたのです。
そのとき後部座席を振り返ると、しんのの姿はどこにもありませんでした。
しんのはあかねと慎之介がやり直すことを決意したこと、慎之介が前向きの気持ちを取り戻したことがわかったので、姿を消し慎之介の体に戻ったのではないかと思います。
まとめ
しんのの生霊が現れたのは
- 18歳のしんのの気持ちがお堂とギターの強く宿っていた
- 秩父から出ることを怖がる気持ちもあった
13年間経って生霊として現れた理由は
- 慎之介が秩父に帰ってきたから
最後に消えたのは
- あかねと慎之介がやり直すことと、慎之介の前向きな気持ちを確認できたから
最後まで読んでいただきありがとうございました!