スラムドッグミリオネアの全問題と答え・なぜ正解したかの伏線を詳しく解説

「スラムドッグミリオネア」で主人公ジャマールが答える問題は全部で9問。

問題が1問出題されるごとに、ジャマールの生い立ちや過去が明らかになっていきます。

言い方を変えるとジャマールの生い立ちには、出題された問題に対する答えの伏線や背景があるのです。

ここではスラムドッグミリオネアで出題されたすべての問題と答えを、正解への伏線も交えて詳しく解説します。

 

スラムドッグミリオネア全問題と正解・伏線の解説

クイズ番外編：彼はあと1問でミリオネア。なぜ勝ち進めた？

この問題はクイズ番組でジャマールに出題されたものではありません。映画の冒頭で流れたものです。

しかし話が進み最後の問題になると、この答えが大きな意味を持つことがわかります。

1問目：1973年のヒット映画「鎖」の主演俳優は？

正解はアミターブ・バッチャンです。この問題の4択は映像にありませんでした。

正解の伏線はジャマールの幼少期にあります。

彼は小さいとき、いつも写真を持ち歩いているほどアミターブ・バッチャンが好きでした。

兄のサリームに屋外のトイレに閉じ込められた時、アミターブを乗せた飛行機がやってきます。
なんとしてもアミターブのサインが欲しいジャマールは、うんこまみれになるのを覚悟でトイレから脱出。

全身うんこまみれで持っていた写真にサインをしてもらいます。

そのくらいアミターブ・バッチャンが好きだったし、印象に残る出来事もあったので1問目に正解することができました。

サインをもらったジャマールは大喜び。でもその様子を見た兄のサリームは何やらおもしろくなさそう。

このころから彼の意地悪な性格が顔を出しているみたいです。ジャマールがやっとの思いで手に入れたアミターブの写真を売ってしまいます。

ちなみにジャマールが塗れたうんこはピーナッツバターとチョコレートでできたもの。とてもいい香りだったそうです。

2問目：インドの国章には3頭の獅子の姿が。その下に書かれた言葉は？

正解はAの真実のみが勝利するです。

ジャマールはこの問題の答えを知りませんでした。そこでオーディエンスを使い正解を選びます。

9問中唯一この問題の答えだけは、伏線としてジャマールの生い立ちは関わってはいませんでした。

その代わりと言っては何ですが、取調室の場面が映し出されます。

「俺の5歳の娘も知っているがお前は違った。クイズの天才なのに」という捜査官。
ジャマールは「チョウパティのパニプリは幾ら？」と返し、「10ルピー」と答える警察官。

「違う、新年から15ルピーに」というジャマール。

さらに「木曜日に駅で巡査の自転車を盗んだのは誰」と質問するジャマール。さらに続けて「誰だって知ってる。5歳の子でも」とジャマール。

ジャマール、警察を完全になめています（笑）。

3問目：ラーマ神の描写で彼が右手に持つものは何でしょう？

正解はDの弓と矢です。これは宗教の知識を問う問題です。

ジャマールの母親はイスラム教とヒンズー教の争いに巻き込まれて亡くなりました。

ウィキペディアによると、2014年の時点でインドのイスラム教徒の割合は約13%。それに対してヒンズー教徒は約80%。

ジャマールの家族はインドでは少数派のイスラム教徒でした。

ヒンズー教徒がジャマールたちイスラム教徒が住む街を攻めてきて破壊し、母親が犠牲になります。そこから逃げる際、ジャマールはヒンズー教のラーマ神に扮した子どもを見かけます。

その姿を鮮明に覚えていたので、ジャマールはこの問題を正解することができました。

ラーマ神に扮した子どもが映し出される場面は、ヒンズー教の知識がないとなんのことかさっぱりわかりません。少なくとも私はわかりませんでした。

なおこの問題を正解した後、クイズミリオネアの司会は休憩に入る前に「ツイてたな。ここまでにしておけ。次はムリだぞ」とジャマールに小声で話しかけます。

スラム街出身のジャマールがここまで正解を出すのがおもしろくなかったのです。

4問目：クリシュナ神の歌を書いた有名な詩人は？

正解のAのスールダース。

自分たちの街がヒンズー教徒に襲われ母を亡くした後、ジャマールたち兄弟はラティカと出会います。

浮浪者のような生活をしている3人のところにある男が現れます。子どもたちに物乞いをさせるグループのリーダー・ママンです。

3人はママンに連れていかれ、他の大勢の孤児たちといっしょに物乞いをさせます。

歌を歌って物乞いをするのですが、ママンは子どもたちに「クリシュナ神の歌」を教えたのです。

ママンたちは、歌が上手い子どもの目をつぶして見えなくしてしまいます。

盲目で歌が上手ければお金をたくさん稼げるからです。ジャマールも目をつぶされそうになりますが、兄サリームのとっさの判断でその場を逃れます。

ジャマール、サリーム、ラティカの3人は列車に乗って逃げようとします。

しかしラティカのことが邪魔なサリームはラティカの手を放し、ラティカは列車に乗れずママンの仲間につかまってしまいます。

その後ジャマールとサリームはタージマハルで観光ガイドをしたり、盗みをしたりして生活していきます。

その間もジャマールはラティカのことを忘れたことはありませんでした。

5問目：アメリカの100ドル札にはどの政治家の顔が描かれているでしょう？

正解はCのベンジャミン・フランクリン。

ラティカのことが忘れられないジャマールは、ラティカを探そうとします。

兄サリームは「どうせ彼女は死んでいる」といい、ラティカを探すことに反対します。

そんな時ジャマールは以前ママンのところでいっしょに暮らしていた子どもに出会います。

盲目にされたその子は街角で歌を歌い、お金を稼いでいました。ジャマールはその子にハンバーガーショップで働いて貯めた100ドル札を渡します。

盲目の子は「お札に誰の顔が描いてある？」と尋ねます。

「おじいさんだ。おでこはハゲ。両側は女みたいな長髪」と答えるジャマールに対して、「ベンジャミン・フランクリン」と返す盲目の子。

この経験が伏線となり、ジャマールは5問目に正解することができました。

ジャマールはこの盲目の子からラティカの居場所を聞きます。

その場所は風俗店（？）ようなところで、ラティカはキレイな衣装を着て踊っていました。

そこをママンに見つかりますが、サリームがママンを銃で撃ち3人は逃げることに成功します。

6問目：リボルバーを発明したのは？

正解はＡのサミュエル・コルト。

ラティカが踊っていた風俗店（？）から逃げ出した3人はホテルに逃げ込みます。

そしてサリームは身の安全を確保するために、ママンと敵対していたジャヴェドという男を探そうとします。

ホテルで2人きりになったジャマールとラティカ。ずっと探したいたと話すジャマール。

そこにサリームが戻ってきてジャマールを部屋から追い出し、無理やりラティカと関係を持とうとします。

「コルト45をブッ放す！うせろ」といい、ジャマールに銃を向けるサリーム。

ジャマールの命を助けたいラティカはこの場を収め、サリームと部屋に消えていきます。ここでコルトという名が出てくるので、ジャマールはこの問題を正解することができました。

この後ラティカはサリームによってジャヴェドのところに身柄を送られ、ジャヴェドの元で暮らすことになります。

7問目：ケンブリッジサーカスはＵＫのどの街にある？

正解はＤのロンドン。

サリーム、ラティカと別れ一人になったジャマールは、コールセンターでお茶くみの仕事を始めます。

コールセンターでケンブリッジサーカスのことを聞いていたことが伏線となり、ジャマールはこの問題に正解します。

コールセンターで働いていた時、あるオペレーターに5分だけ替われ、と言われジャマールはオペレーターの席につきます。

ラティカの居所を突き止めたいジャマールは、PCでラティカの名前を検索しますが、数が多すぎて見当がつきません。

次に兄サリームのフルネームを検索すると15件ヒット。上から順に電話をしていくとサリームを見つけることができました。

ジャマールは兄サリームと再会します。いきなりサリームを殴り「一生許さない」というジャマール。

しかし2人は和解。サリームはママンの一味から守ってもらうために、ママンに敵対するジャヴェドという男の手伝いをしています。

ジャマールはラティカの場所を尋ねますが「姿を消したよ。とうの昔に」とサリームは答えます。

しかし後日ジャマールがサリームのあとをつけると、ラティカを見つけます。

ラティカはジャヴェドの家で監視されながら住んでいました。再び出会うジャマールとラティカ。

そこでジャマールはラティカが「クイズミリオネア」を楽しみに見ていることを知ります。

結局2人はまた離れ離れになりますが、ここでの再会がジャマールが「クイズミリオネア」に出場することにつながります。

8問目：最多センチュリーを記録したクリケット選手は？

正解はⅮのＪ・ホッブス。

ラティカと再会したジャヴェドの家で、ジャヴェドはクリケットの試合を見ていました。

そこでジャマールはクリケットについてある程度の知識を得ていたのですが、正解をしぼりきれません。

「クイズミリオネア」の放送の休憩中、ジャマールはトイレに行きます。そこで司会のプレームがいました。

短い会話を交わしプレームがトイレから出ると、トイレの鏡に正解を示唆する「B」の文字が書かれていました。

放送が再開しても答えをしぼりきれないジャマールは、ライフライン50/50を使います。

すると残った答えはBとC。プレームの示唆した答えを信じていいものかどうか迷うジャマール。

しかしこれまでのプレームの態度から、教えられたBではなくCを選択。そして正解するのです。

ここでこの日の生放送は終了し、番組は翌日に持ち越されます。

しかしクイズでインチキをしたと疑われたジャマールは、警察で取り調べを受けることになります。

ここでのジャマールとプレームのやり取りの描き方はさすが。観客の多くははグッと映画に引き込まれたはずです。

9問目（最後の問題）：アレクサンドル・ドュマの著書「三銃士」銃士２人の名はアトスとポルトス。3人目の銃士の名前は？

正解はAのアラミス。

警察で嘘をついていないと判断されたジャマールは、翌日の「クイズミリオネア」に出場することを許されます。

そして迎えた最終問題。ラティカはジャヴェドの家でこの番組を見ていました。

その様子を見ていたジャマールの兄サリームは、自分の携帯電話と車を用意しラティカをジャマールの元に向かわせます。

この行為がジャヴェドの怒りを買い、サリームはジャヴェドの仲間に射殺されてしまいます。

さて最後の問題が読まれた時、ジャマールは笑って「答えを知らない」といいます。

ジャマールは小さいころ学校（？）で三銃士の話を聞いていました。

また母を殺された後、兄と三銃士の話をほんの少しだけします。でも3人目の銃士の名前は知りませんでした。
そこでテレフォンを使い兄サリーンに電話をします。

ところが電話に出たのはラティカ。ラティカも答えを知らないといいます。

盛り上がる観客。ジャマールはこのとき正解することはどうでもよくなっていたように見えました。

自分をラティカに見つけてほしくて番組に出場したのに、電話で話すことができたからです。そして勘で最後の問題を答え、見事正解します。

It is written.（運命だった）。番組冒頭の問題の答えがここでの伏線になっています。

まさに運命で最終問題に正解し、大金を手に入れるジャマール。

しかしジャマールにとってお金より大切なものがありました。それはラティカです。

そして感動のクライマックスへとつながっていきます。

まとめ

「スラムドッグミリオネア」で出題された全問題と答え、そしてその伏線となったジャマールの生い立ちや生活についてまとめました。

この映画の感想を見ると「問題がかんたんだった」という声がありました。

でも問題がむずかしいかやさしいかは重要なのではありません。問題を通して、ジャマールの生い立ちやラティカとの関係が次第に明らかになっていく描写が見どころでした。

ジャマールとラティカが再開するラストシーンは感動的。何度でも見たくなる映画でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました！

スラムドッグミリオネア最後の問題になぜジャマールは正解した？回答できた理由を考察

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2019.08.20