ディズニー映画「塔の上のラプンツェル」にはグリム童話の原作があるのをご存知でしょうか?
ロマンチックなディズニー作品に比べて、グリム童話の原作はとても怖く生々しいんです。
しかも性的描写もあるため、とても子どもには読ませられないと言われています。
この記事ではラプンツェルの原作のあらすじを紹介し、ディズニー版との違いを解説していきます。
グリム童話原作の「ラプンツェル」が怖いと感じる点も解説します。
目次
「ラプンツェル」グリム初版のあらすじ
ラプンツェルの物語を最初に読んだのは小学校低学年のころ買ってもらった岩波書店のグリム童話集だったと思うんですけども、これがまたなんていうか「あなたの性癖はどこから?私は岩波のグリム童話集から!」っていう感じの業が深い書(全力で讃えています)なんですよね… pic.twitter.com/Kyx1kwqcfo
— 西條冴子 (@vitafragilis1) April 23, 2020
ラプンツェルには物語が3つある
「ラプンツェル」についてぜひ最初に知っておきたいことは、物語が3つあるということです。
- 原作初版(性描写など生々しい表現を含む)
- 改訂版(性的表現を取り除き、子どもが読める内容の作品)
- ディズニー版映画「塔の上のラプンツェル」
原作はグリム童話に収録されています。
グリム童話はヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟が編さんした昔話集で、ドイツ周辺に昔から伝わる民話を元に、加筆・修正して出版したものです。
子ども向けでありながら、過激で生々しい表現が多いため、子どもにそのまま読ませるのには抵抗がありました。
そこでグリム兄弟が出版したものから性的表現などを削り、修正を加えたものが出版されます。
これが現在一般的に読まれているグリム童話です。
ディズニー版映画「塔の上のラプンツェル」は修正版にさらに手を加え、オリジナルの要素が入ったストーリーになっています。
ここでは初版の物語をご紹介します。
「ラプンツェル」初版原作の大まかなあらすじ
子どもが欲しい夫婦と隣に住むラプンツェル
昔あるところに、子ども欲しいと願いながら、長年子宝に恵まれなかった夫婦がいました。
やがて夫婦は子どもを授かりますが、妊娠した妻が隣に住むゴーテルという魔法使いの庭で育てられている野菜を食べたい、と思うようになります。
それはラプンツェルという名の野菜でした。
「ラプンツェルを食べないと死んでしまう」と訴えられた夫は妻のためにゴーテルの家の敷地に忍び込み、ラプンツェルを摘み妻に食べさせます。
ラプンツェルを食べた妻は夫に「もっと食べたい」と言うと、夫は次の日もゴーテルの家に忍び込んでラプンツェルを摘み取ります。
残酷な取引に応じた夫
しかし夫はゴーテルに見つかってしまいます。
ゴーテルは夫から話を聞くと、「ラプンツェルを取ってもいいが生まれた子どもを渡せ」と言います。
ゴーテルの怖い雰囲気に圧倒された夫は取引に応じてしまいます。
やがて生まれた女児は魔女に引き取られ、ラプンツェルと名付けられます。
最初は家で育てられていましたが、12歳になるとラプンツェルは森の中にある出入り口のない塔に閉じ込められます。
ゴーテルはラプンツェルに会いに行くときは、ラプンツェルの長い髪をつたって塔を登り、窓から出入りしていました。
出会い
ある日森の中を歩いていた王子がきれいな歌声に惹かれ、塔にやってきます。
しかしどうやって塔に登っていいかわかりません。
その後何度も塔にやって来るうちに、王子はゴーテルがラプンツェルの髪をつたい塔に登っていく様子を目撃します。
そして王子もゴーテルと同じように「おまえの髪をたらしておくれ」と叫び、下りてきた長い髪をつたい塔を登ります。
ラプンツェルはやってきた王子に驚いたものの、彼をとても気に入り「毎日塔へいらしてください」と告げます。
妊娠そして二人の悲劇
それからラプンツェルと王子は魔法使いの目を盗んでは逢瀬を繰り返します。
ある日ラプンツェルはゴーテルに「なぜか私のお洋服がきつくなって、体に合わなくなってしまったの」と言います。
王子と逢瀬を重ねたラプンツェルは、このときすでに妊娠していたのです。
これを聞いたゴーテルは激怒、ラプンツェルの髪を切り、荒野に放ちます。
ラプンツェルの妊娠を知らない王子はこれまで通り塔にやってきますが、そこにはゴーテルが待っており、「もうラプンツェルはいない」と告げられます。
絶望した王子は塔から身を投げ、失明してしまいます。
再会そして結末
数年後、目が見えないまま森をさまよい歩いていた王子は偶然にも双子の男女と暮らすラプンツェルと巡りあいます。
ラプンツェルがうれし涙を流すと王子の目に落ち、王子は視力を取り戻します。
2人は子どもたちとともに王子の国に帰り、幸せに暮らすのでした。
「ラプンツェル」ディズニー版と原作の違いは性描写や妊娠の表現
驚くべき力を秘める
ラプンツェルの美しい髪長い髪を自在に操る姿は
華麗でかっこいいカナ長さはなんと約21メートル‼️
奈良の大仏は約18メートル…#塔の上のラプンツェル #5月1日夜9時#本編ノーカット pic.twitter.com/Xy9ur2kjxn— アンク@金曜ロードSHOW!公式 (@kinro_ntv) April 27, 2020
ディズニー版映画では性描写や生々しい表現は削除
グリム童話原作の「ラプンツェル」とディズニー映画「塔の上のラプンツェル」の大きな違いは、性描写や生々しい表現の有無にあります。
原作初版の「ラプンツェル」には性的描写がはっきり書かれている箇所があります。
「洋服がきつくなっちゃった」という描写は、王子とラプンツェルが何をしていたか、はっきりわかる表現です。
しかもラプンツェルが王子と性交渉を重ね妊娠しても、妊娠したことに本人が気が付きません。
もし原作を読んだ子どもからこの辺の事情を質問されても、親は説明にとまどってしまいます。
そんな事情もあり、グリム童話初版の「ラプンツェル」には当時かなりの批判があったようです。
ということで改訂版では妊娠のシーンを「王子はとても軽いのに、なぜお母さんはこんなに重いの?」という表現に変更されるなど、性的描写は削除されています。
そしてディズニー版でも性描写は一切省かれています。
ディズニー版映画には独自の要素も
2010年公開のディズニー版映画「塔の上のラプンツェル」では、「金色に輝く魔法の花」が出てきたり、王子がユージーンに変更されたり。
ゴーテルがラプンツェルの髪の力を利用して若さを保ったり、など独自の要素を入れた物語になっています。
原作の要素を活かしつつ、だれでも楽しめるすばらしい内容に映画になっている、と個人的には感じています。
ラプンツェルの名前の由来に違いも
タチイヌノフグリ、ノヂシャ、キュウリグサ、オオイヌノフグリ。青たち。
ノヂシャ(Valerianella locusta)は野菜のマーシュとして知られているけれど、実は花がめちゃくちゃ可愛いのだ。ドイツ語ではRapunzel、そう、あのグリム童話のラプンツェルに出てくる、魔女の庭に生えている美味しい野菜。 pic.twitter.com/LtbaS7tKHv— atsu_sasa (@atsu_sasa) April 26, 2020
ディズニー版映画と原作は、ラプンツェルという名前の由来にも違いがあります。
ディズニー版「塔の上のラプンツェル」では、ラプンツェルという名前の由来は一切語られていませんでした。
一方グリム童話原作では、生まれた女の子は、野菜のラプンツェルにちなみ「ラプンツェル」という名前が付けられます。
ラプンツェルとは萵苣(ちしゃ)という生食に適した野菜のこと。
あるクイズ番組で「レタス」という読みを正解としており、確かに似てはいますがレタスとは別の種類の野菜です。
妊婦にオススメの栄養が入っていることでも知られ、グリム童話でも妊娠した女性が食べたがった、という設定になっています。
実際には栄養よりも、むしろさっぱりした味が妊婦さんに好まれるのかもしれませんが。
「ラプンツェル」グリム童話の原作が怖いと感じる理由
グリム童話原作の「ラプンツェル」は怖い!と言われますが、どんなところが怖いのでしょうか?
個人的に怖いと感じたポイントを2点あげます。
子どもを取られてしまう
グリム童話原作の「ラプンツェル」は、夫が妊娠した妻のために隣の魔女の家の敷地に忍び込み、野菜のラプンツェルを盗むところから話が始まります。
おそらく魔女ゴーテルは丹精込めてラプンツェルを育てていたでしょうから、それを盗むのは言語道断。
古今東西、いつの世の中でも許されていいことではありません。
しかしそれと引き換えに生まれた子どもを取られてしまうというのはあまりに怖いと感じます。
夫はゴーテルの恐ろしさに負けて取引に応じたのかもしれませんが、盗んだ野菜と引き換えに子どもを渡すというのは、いくら童話の世界とは言え聞いただけでゾッとしてしまいます。
罪を犯したものにはきびしいお仕置き
罪を犯したものにかなり厳しいお仕置きがあるのも原作「ラプンツェル」の怖いと感じる点です。
前で説明したように、盗んだ野菜と引き換えに子どもを取られることは、かなりきびしいお仕置きと考えられます。
またラプンツェルを妊娠させた王子が塔から飛び降り、失明したことも懲罰と考えると怖いです。
王子とは言え快楽に身を任せ、未婚の若い女子を妊娠させてしまったことは、きびしい罰に匹敵する、という意味なのかもしれません。
性教育を受けていなかったであろうラプンツェルが妊娠した結果、ゴーテルから野に追放されるのは少し気の毒に感じます。
しかし長い髪を切られ、野に追い出されるのはお仕置きとして考えると怖く感じます。
ただグリム童話だけでなく、悪いことをした人はきびしい罰が待っているというのは世界共通なのかもしれません。
日本の「はなさかじいさん」でも隣の欲張りで乱暴な老夫婦が最後に罰を受けるように。
そういった内容にすることで、子どもたちに何か大切なメッセージを伝えようとしているのかもしれませんね。
まとめ
♪「輝く未来」
音楽を担当したアラン・メンケンは、🧜♀️「リトル・マーメイド」や🥀「美女と野獣」、🧞♂️「アラジン」「ポカホンタス」など数々のディズニー・アニメの音楽を手掛け、この4作品でアカデミー賞作曲賞と主題歌賞を受賞している巨匠です🎹#塔の上のラプンツェル #金曜ロードショー pic.twitter.com/R85hid3xPa
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) March 25, 2022
この記事ではグリム童話原作の「ラプンツェル」の内容を紹介し、ディズニー版「塔の上のラプンツェル」との違いを解説しました。
- グリム童話原作の「ラプンツェル」には性的表現が描かれている
- 改訂版では性描写が省かれ、ディズニー版ではオリジナルの内容が加えられている
個人的にグリム童話原作「ラプンツェル」が怖いと感じる点は
- 隣の魔女の子どもを取られてしまうこと
- 罪を犯したものにきびしい罰が待っていること
最後までご覧いただきありがとうございました!
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