アメリカ大統領の狙撃、誘拐を描いた映画「バンテージポイント」。好きですね、この映画。
8回も同じシーンを見ることになるのですが、すべて違う視点から見ているから飽きないし、少しずつ真相が明らかになっていくという構成や脚本にうならされました!
ここでは最後の場面でひとつ気になったことを取り上げます。
犯人スワレスが運転する救急車が路上に立っている女の子アナを避けようとして転倒するシーンがありました。
なぜあそこでスワレスはとっさにハンドルを切って女の子を避けようとしたのか?
事件解決の最も大きな場面ですし、Yahoo!知恵袋にも同様の質問があったので理由を考えてみます。
結末ネタバレについてもまとめました。
「バンテージポイント」の最後で犯人はなぜ女の子アナを避けたのか?
考えられる2つの理由
なぜ犯人グループの首謀者スワレスは誘拐した大統領を乗せた救急車を運転中、女の子を避けようとしたのか?
不可解に思った方はきっといるはずです。
スワレスは計画を成し遂げるためなら下っ端の仲間をためらいなく殺すほどの冷酷な人間です。
あの場面でアナをひき殺してもまったく不思議ではありません。
でもとっさにハンドルを切って運転していた救急車は横転してしまいます。
普通に考えられる理由は2つあります。
1つ目の理由は反射的にハンドルを切ってしまったことが考えられます。
犯人の性格がどうであれ、運転中目の前に人が現れたらひいちゃまずい!という心理が働いてハンドルを切ってしまうことがあります。
2つ目の理由はいくら冷酷なスワレスでも結局は人の子。彼が本来持っている良心がハンドルを切らせたということです。
ただどちらの理由も当たり前すぎて、どうにも腑に落ちない気がします。
いささかご都合主義も
別に考えられるのは映画の演出上の理由です。もっと言うと製作者側のご都合主義です。
カーチェイスを盛り上げた末に事故で映画を終わらせてしまおう、という製作者側のご都合主義で犯人がハンドルを切ったということです。
いくら母親とはぐれてしまったとはいえ、アナくらいの年齢になれば交通量が多い道路を渡るのは危険なのはわかるはずです。
なのに女の子がわざわざ道路の真ん中にいて、犯人がそれを避けようとして転倒、死んで事件解決って、いくら何でも話がうまくいきすぎのように感じます。
ご都合主義と言わざるを得ません。これを言っては元も子もないのは承知ですが。
しかし「バンテージポイント」はそんな製作者のご都合主義も気にならないほど脚本にすぐれ、グッと惹きつけられる映画です。
繰り返し流される映像から、少しずつ事件の真相が明らかになっていく展開は見事でした。
1回だけでなく、2回目の視聴でも新しい発見があり、楽しめる映画です。大満足でした。
「バンテージポイント」の結末をネタバレ
映画「バンテージポイント」の結末をネタバレします。
犯人グループは替え玉の大統領を遠隔操作の銃で撃った後、本物の大統領をホテルで誘拐します。
犯人は演説する大統領が替え玉で、本物の大統領はホテルにいたことを知っていたのです。
そしてリーダーのスワレスとベロニカが運転する救急車に本物の大統領を乗せます。
これに気付いたシークレットサービスのトーマス・バーンズが救急車を車で追いかけます(カーチェイスのシーンは大迫力でした!)。
激しいカーチェイスの末、バーンズの運転する車はクラッシュしてしまい救急車を追えません。
しかし猛スピードで走る救急車の前に、母親とはぐれてしまったアンが立っていました。
アンを避けようとした犯人は急ハンドルを切り救急車は横転します。
アナは救急車にひかれそうになるところをアメリカ人旅行者のハワード・ルイスに助けられます。
救急車に乗っていた2人の犯人は死亡。
しかし大統領だけは奇跡的に生き残り、事件は解決します。
以上が「バンテージポイント」の結末でした。
まとめ
- 「バンテージポイント」で犯人が女の子を避けたのはいささかご都合主義
ただこの映画にはご都合主義など関係なくなるほど、それまでの描き方が見事でした。
羅生門スタイルがうまく生きていましたね。同じ手法を使った別の映画も見たくなりました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!