映画「すずめの戸締まり」の終盤、17歳の岩戸鈴芽は4歳だった自分に出会います。
その後、後ろ戸を通り、現世(うつしよ)に戻った17歳の鈴芽は、「私、忘れてた」「大事なものはもう全部、ずっと前、もらってたんだ」とつぶやきます。
そんな鈴芽を見ていた宗像草太は、やさしそうな笑みを浮かべて頷きます。
では、鈴芽が忘れていたもの何だったのでしょう?
今回は「大事なもの」の意味を考察します。
「大事なもの」の意味とは?鈴芽は何を忘れていたのか
映画「すずめの戸締まり」本日公開です。渾身の力をこめて原画を描きました。ひとりでも多くの方に劇場で見ていただけますようにと願っています。一スタッフとして応援しています。 #すずめの戸締まり pic.twitter.com/sx8Ion8775
— 西村貴世 (@nishimuratakayo) November 10, 2022
ラストで17歳のすずめが4歳のすずめに語り掛けたこと
要石(ダイジン)を刺し、ミミズを押さえこむことに成功した鈴芽は、4歳だった自分を発見。
そして17歳の鈴芽は、行方不明の母親を探す幼い自分に椅子を渡し、こう語りかけます。
あのね、すずめ。今はどんなに悲しくてもね
すずめはこの先、ちゃんと大きくなるの。
だから心配しないで。未来なんて怖いくない!
[中略]
あなたはこれからも誰かを大好きになるし、あなたを大好きになってくれる誰かとも、たくさん出会う。
また夜が来て、それを何度も繰り返して、あなたは光の中で大人になっていく。
引用元:「小説すずめの戸締まり」
そして4歳の自分に「お姉ちゃん、だれ?」と尋ねられた17歳の鈴芽は、「私は、すずめの、明日」と答えるのでした。
その後、後ろ戸をくぐり現世(うつしよ)に戻った鈴芽は、「大事なものはもう全部、ずっと前、もらってたんだ」を呟くのでした。
「大事なもの」「忘れていたもの」とは?
17歳の鈴芽は、4歳のすずめにこんなことを伝えたかったと考えられます。
生きる喜び、未来への希望。
好きになってくれる人や、好きになる人との出会い。
やさしい愛に包まれて、すずめは成長していく。
これらのことは、すでに約束されている。
だからどんなに辛いことがあっても、自信をもって立派に生きていきなさい。
つまり、これが鈴芽の言う”大事なもの”であり、”忘れていたもの”。
とても素敵なメッセージですが、大きくなる過程で、鈴芽は17歳の自分から受け取ったメッセージを忘れてしまいます。
まだ幼かったので、17歳の自分が言ったことが理解できなかった可能性もありますね。
繰り返し夢を見ても思い出すことはできなかった
鈴芽は繰り返し見る夢がありました。
4歳の自分が母親を探す夢です。
しかし母親(実際には母親ではなく17歳の鈴芽)を見つけ、「おかあさん」とつぶやいた瞬間、夢から覚めてしまいます。
夢の中では、17歳の鈴芽から言葉をかけられていないんですね。
だから鈴芽は「大事なもの」を忘れていたのだと考えられます。
「すずめの戸締まり」鈴芽が旅の中で出会った人たち
ーSTORY④ー
日本各地で次々に開き始める扉。
不思議な扉と小さな猫に導かれ
日本列島を巻き込んでいく
すずめの”戸締まりの旅”🗾旅先での出会いに
助けられながら辿りついたその場所で
すずめを待っていたのは、
忘れられてしまったある真実だった🚪#すずめの戸締まり#新海誠#11月11日公開 pic.twitter.com/9OVpcpJZCx— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) November 3, 2022
17歳の鈴芽は「あなたはこれからも誰かを大好きになるし、あなたを大好きになってくれる誰かともたくさん出会う」と、4歳の自分に話します。
この言葉の通り、わずか1週間の旅の中で鈴芽は多くの人と出会い、少しずつ成長しながら、故郷の岩手県にある後ろ戸にたどり着きます。
出会った人たちとは、鈴芽が好きになり、鈴芽を好きになってくれた誰かでした。
ここでは鈴芽が旅の中で出会った人をまとめました。
海部千果:何も聞かず鈴芽がやっていることを認める
🚪キャラクター紹介🚪
🍊海部千果(あまべちか)
ーー #花瀬琴音愛媛を訪れたすずめが出会う、
同い年の快活な少女。実家は家族経営の民宿。https://t.co/iBajsxMqy2#すずめの戸締まり#新海誠#11月11日公開 pic.twitter.com/J9vA7KxMrw
— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) October 4, 2022
ダイジンを追ってフェリーに乗り、愛媛県にある八幡浜港に着いた鈴芽は、同じ年齢の海部千果(あまべちか)に出会います。
千果は鈴芽を廃校近くまで送っていったり、自宅の民宿に泊めたり、服を渡したりなど、鈴芽の旅に協力。
そんな千果は「あんたって、なにもん」と、一度は鈴芽に質問をします。
でも「あんたはなんか、だいじなことをしとるような気がする」と、深く追求することはしませんでした。
千果のやさしさに触れた鈴芽は、思わず泣きそうになります。
鈴芽が最初に出会ったのが千果でよかったですね!
二ノ宮ルミ:家出少女と気が付きつつ優しく受け入れる
🚪キャラクター紹介🚪
🍷二ノ宮ルミ(にのみやるみ)
ーー #伊藤沙莉女手一つで幼い双子を育てる、
神戸のスナックのママ。ヒッチハイクをしていたすずめを拾う。https://t.co/iBajsy41pA#すずめの戸締まり#新海誠#11月11日公開 pic.twitter.com/3n2JVnuJkm
— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) October 3, 2022
明石海峡大橋を渡り、神戸に行ったダイジンを追い、ヒッチハイクをする鈴芽でしたが、なかなかうまくいきません。
そんな鈴芽を拾ったのが二ノ宮ルミ。
神戸でスナックを経営するルミは、鈴芽に子どもの世話を任せたり、店の手伝いをさせたり。
その後、閉演した遊園地で戸締りをして帰ってきた鈴芽を、「どこ行っとたの?」「どない心配したか?」と少し叱りながらも、優しく出迎えます。
もし何かあったら鈴芽の両親に申し訳ない、とルミは思ったのでしょう。
翌朝、新神戸駅まで鈴芽を送ったルミは、鈴芽にスポーツキャップを被らせて、「親御さんにはちゃんと連絡するんよ」と、鈴芽を送り出します。
家出少女であることに気が付いていながら、ルミは鈴芽を受け入れていたのです。
大人の女性の優しさですね。
芹澤朋也:鈴芽と環の間で振り回される草太の同級生
草太の下宿先で鈴芽が出会ったのが芹澤朋也。
草太に20,000円貸しているという芹澤は、鈴芽を岩手県まで送っていくことに。
芹澤の車には環やダイジンも(途中からはサダイジンも)同乗。
鈴芽と環の間にはさまれた芹澤は、いろいろと振り回されることに。
微妙な関係ですからね、鈴芽と環は。
教師に向いていないように見える芹澤ですが、環に気を遣って古いJポップを流したり、河合奈保子の「けんかをやめて」を流したりなど、優しいところもあります。
おかげで鈴芽は、故郷から20㎞のところまでたどり着きます。
小説版では”いやなチャラ男”のイメージしかなかった芹澤ですが、映画ではとても”いいやつ”でした(笑。
岩戸環:過保護ながら鈴芽を優しく見守る
🚪キャラクター紹介🚪
👩👧岩戸環(いわとたまき)
ーー #深津絵里漁協で働くすずめの叔母。
すずめが幼い頃から
二人で暮らし
その成長を見守るが、
過保護なあまり
つい口うるさくなってしまう一面も。https://t.co/iBajsy41pA#すずめの戸締まり#新海誠#11月11日公開 pic.twitter.com/4tIkBOMVem— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) October 1, 2022
母親の椿芽(環にとっては姉)を亡くた鈴芽を引き取り、12年間育ててきた岩戸環(たまき)。
雀のキャラのお弁当を鈴芽に持たせたり、旅に出た鈴芽を追いかけて東京まで来たりなど、過保護な面を持った叔母です。
里帰りをする途中の道の駅で、サダイジンに乗り移られた環さんは、「私の人生、返しんさい!」「もう、うちから出ていきんさい!」と、鈴芽に思わず本音を言ってしまいます。
でも、その後の環さんは自転車を漕いで、鈴芽を故郷まで連れていきます。
今回の経験を経て、環さんも成長した一人。
小説の最後で「環さんとの口けんかは増えたけど、それは気持ちの良い思考の交換作業」と鈴芽が感じているように、環さんと鈴芽の関係も、旅をしたことでより良いものになったようです。
個人的に、一番好きなキャラは環さんでした(笑。
いい人が見つかるといいですね!
宗像草太:誰にも知られることなく大事なことをする閉じ師
旅をする中で、鈴芽と草太の間には恋愛感情が生まれていきます。
でも鈴芽と草太の関係は「君の名は」の三葉と瀧の関係とは違い、バディ(仲間、相棒)の関係。
2人で困難を乗り越えていきましたからね。
神戸での夜、鈴芽は草太から「大事な仕事は人からは見えない方がいいんだ」という話を聞きます。
”大事な仕事”とは、閉じ師の仕事のこと。
大事な仕事ほど人から注目されて、たくさんのお金をもらえると思っていた鈴芽には意外でした。
鈴芽と草太には、ずっといい関係でいてほしいし、できれば付き合ってほしい!
後日談があるといいですね。
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まとめ
ーSTORY②ー
扉の向こう側からは
災いが訪れてしまうため
草太は扉を閉めて鍵をかける
“閉じ師”として旅を続けているという🗝️すると、二人の前に突如、
謎の猫・ダイジンが現れる🐱「すずめ すき」「おまえは じゃま」#すずめの戸締まり#新海誠 #11月11日公開 pic.twitter.com/fXECAUEHfO
— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) October 19, 2022
「すずめの戸締まり」の「大事なもの」の意味を考察しました。
- 鈴芽の忘れていた「大事なもの」とは「生きる喜びや未来への希望。好きになってくれる人や、好きになる人との出会い。やさしい愛に包まれて、すずめは成長していく」だったと考察
鈴芽が旅の中で出会った「好きになってくれる人や好きになる人」についてもまとめました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!