「啄木鳥探偵處」(きつつきだんていどころ)は俳人・石川啄木が探偵業を始めるという実に風変わりなアニメです。
筆者は2020年4月開始のアニメに先駆けて原作小説「啄木鳥探偵處」を読みましたが、設定も推理もよく、興味深く読むことができました。
石川啄木については「一握の砂」など国語の授業で出てきますし、彼の生涯についても説明がありますが、時間の経過とともに忘れている方も多いはず!
そこでここでは石川啄木について以下の4点に絞って解説します!
- 啄木の生い立ち
- 啄木はお金に困っていた?
- 啄木の性格は?
- 金田一京助との関係
目次
石川啄木の生い立ち
誕生から中学自主退学まで
- 本名:石川一(いしかわはじめ)
- 誕生日:1886年2月20日
- 死去:1912年4月13日
- 享年:26歳
石川啄木は1886年(明治19年)2月20日、岩手県南岩手郡日戸(現在の盛岡市日戸)のお寺の住職の長男として誕生。
住職の息子であったため幼少期より読み書きをしっかり学んでいたようで、学齢より一歳早く尋常小学校に入学し、主席で小学校を卒業。
その後盛岡尋常中学校(現在の盛岡一高)に入学すると、三年先輩にいたのが「啄木鳥探偵處」で啄木の助手を務める金田一京助でした。
啄木はここで金田一先輩から文学の面白さを教わり、文芸雑誌「明星」を熟読したり与謝野晶子の影響を受ける中で「将来は文学で身を立てていきたい」と考えるように。
またこの時期にのちに結婚することになる堀合節子と出会います。
この頃の啄木は文学と恋愛に夢中になるあまり、学業がおろそかに。
そして試験のカンニングが2回連続でバレると学校を自主退学することになります。
最初の上京
啄木は中学を自主退学した後、プロの文学家を目指すために与謝野鉄幹・晶子夫妻を訪ね上京。
しかし仕事が見つからず下宿代が払えないため、わずか半年で泣く泣く地元へ帰郷します。
啄木はその後19歳(1905年)で処女詩集「あこがれ」を刊行すると、一部で天才歌人と評価されますが、父親のリストラや自分の結婚などにより文学どころではなくなってしまいます。
そこで20歳になると啄木は小学校の代用教員として働きはじめます。
しかし住職再任運動に挫折した父親の家出や子どもが生まれたことで金欠になり、新天地を求め心機一転、家族と別れて北海道へと渡ります。
再上京し「一握の砂」出版
啄木は函館、札幌、小樽、釧路などを転々としながら商工会議所勤務、代用教員、新聞社勤務など職を転々。
そして22歳のとき、文学を諦めきれない啄木は先輩の金田一京助を頼って家族を残し、ひとり上京。
1910年には「一握の砂」を出版し、プロの文学家としてわずかの収入を手にします。
1912年他界
しかしわずかその2年後、肺結核のため死亡。
「啄木鳥探偵處」では2度目の上京後、浅草の娼婦おたきが死んだ事件をきっかけに探偵業を始める啄木の様子が描かれています。
また「一握の砂」出版や1910年の大逆事件、病気(肺結核)や啄木が北海道で出会った遊女の話などを絡めて物語が進んでいきます。
この作品を読むと東京での啄木の暮らしぶりの一端や啄木の人となりがわかります。
アニメや教科書とは違った啄木を感じられるので、興味がある方はぜひ「啄木鳥探偵處」を読んでみてくださいね!
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石川啄木はお金に困っていたという話は本当か
お金に困っていたのは事実
啄木がお金に困っていたのは事実です。
この話は学校の国語の授業で説明は受けるので、ご存知の方は多いと思います。
下の歌は啄木の金欠の様子をよく表現していることでよく知られています。
働けど働けどなおわが暮らし楽にならざり
引用元:「一握の砂」
彼がお金に困リ始めたのは19歳(1905年)のころ。
宝徳寺住職だった父・一禎が1904年に宗費滞納を理由に住職を罷免されると、一家の生活は苦しくなります。
さらに啄木は恋人だった節子と19歳で結婚し、その後ほどなくして妻が妊娠したので家族を養っていかなければなりません。
代用教員になるも生活は裕福にならず
お金に困った啄木は文学どころではなくなり、生活費を稼ぐために小学校で代用教員を始めます。
しかし不幸はさらに続くもので、住職再任運動に挫折した父が家出。
啄木は心機一転を図り北海道に渡りますが、仕事を転々としたため生活が裕福になることはありませんでした。
金田一を頼り上京し成功を夢見て小説を書きますが、小説が評価されることはなかったので、その暮らしぶりは変わることはありませんでした。
啄木は彼のつらい心情を短歌に注ぎ込み、それがのちの「一握の砂」になったわけです。
石川啄木は性格は?女を売り飛ばしたクズエピソードまとめ
会社の近くの、啄木
小公園 天気が良く
今日は 内地(本州)が
見えるよ😊
写真は石川啄木の銅像と函館山❗️ pic.twitter.com/SX9R0DMV3h— ❁ ✾サーモン✾ ❁ (@RG2501117) April 5, 2022
啄木は女好きだった?
啄木が女好きだったのは本当です。
仕事は長続きせず転々、借金は踏み倒す・・・こんな生活をしていたにもかかわらず、女遊びは一人前以上でした(笑。
小説「啄木鳥探偵處」にも啄木が金田一京助を連れて浅草の娼館に行く場面が描かれています。
実際に2人で娼館に行ったかどうかはわかりませんが、啄木の女好きのエピソードをもとにしていることは間違いありません。
小説ではその日身につけているものを売り遊ぶ金を作ったり、女性を知らない金田一をバカにしたり、娼館に行く前にぜいたくに食事をしたり、といった啄木の様子が描かれてます。
これらもあながち小説だけのこととは言えないかもしれませんね。
少しお金が入っても家族のためにつかわず、女遊びをしていたといいますからまさにクズ伝説!
「働けど働けど」といっても、こんなお金の使い方をしていては金欠になっても仕方がありませんよね。
女を売り飛ばしたのは本当?
啄木が女を売り飛ばしたのは本当のようです。
啄木は北海道にいたとき、小奴(こやっこ)という遊女と恋に落ちますが、そこに横恋慕する別の男が現れます。
するとその男に小奴を譲ってもよい、と言いお金で小奴を売り飛ばします。
さらにこれには後日談があり、その後上京し金に困っていた啄木は北海道にいる小奴に金を無心する手紙を書きます。
ひどい目にあったのですから今だったらお金を送ることなど考えられませんが、時代なのでしょうか?
小奴は啄木にお金を送ったとか?
ちなみに啄木はその金も女遊びにつかったと言われていますから
クズ伝説です(笑。
妻に読まれないようローマ字で日記を書いていた?
啄木はローマ字(アルファベット)で日記を書いていました。
妻の節子ら家族を函館に置いて上京した1909年の出来事をアルファベットで日記に記しています。
その目的は妻にエッチな内容を知られないため。
日記には「金があるときに夜の街に行き、10人ほど女を買った」など、とても妻に読ませられない内容がいくつも書いてあります。
予は節子以外の女を恋しいと思ったことはある。
他の女と寝てみたいと思ったこともある。
現に節子と寝ていながらそう思ったこともある。
そして予は寝た――他の女と寝た。
しかしそれは節子と何の関係がある?
予は節子に不満足だったのではない。
人の欲望が単一でないだけだ。
こんなことも書かれていたそうですからゲスいですね(笑。
妻にはバレていた可能性も
このエピソードはバラエティ番組「トリビアの泉」でも紹介されましたし、ローマ字の日記は小説「啄木鳥探偵處」のエピソードにも登場。
ただ啄木の妻・節子は育ちがいいお嬢様で、この時代にピアノやバイオリンも嗜んでいたとか?
となるとローマ字くらいは読めたことも想像できるので、啄木の意に反して節子は日記の内容を理解していたかもしれませんね(笑)。
石川啄木と金田一京助の関係
岩手のころからの友人関係
石川啄木と国語の神様・金田一京助が友人関係であったことは知られています。
啄木は中学時代、3歳年上の金田一に出会い、文学の面白さに目覚めます。
のちに啄木は金田一を頼り上京しますが、妻を呼ぶ前は金田一と同じ下宿先に部屋を借りていました。
しかし定職はない、小説も売れない啄木に安定収入などありません。
そこで金田一は自分のものを質屋に売り、啄木に金を貸していたのです。
とはいっても貸した金が返ってくるあてがないことは金田一も承知していたと思われます。
それでも啄木は部屋の家賃を滞納してしまい、いよいよ大家から追い出されそうに。
すると金田一京介は啄木に一切の相談なく自らの蔵書を売り払い、その金で自分と啄木の下宿先を確保したのです。
啄木もさすがにこれには感謝したと言われているとか!?
金田一京助は石川啄木に惚れていた?
「啄木鳥探偵處」は金田一京助の一人称で書かれた推理小説です。
この作品の中に自分は啄木に惚れている、という記述があります。
もちろん同性愛という意味ではありません。
金田一は啄木の文人としての才能や人柄、生き様などに惚れていたようです。
だから貸した金が返ってこなくても、好きで啄木の面倒を見ていたと言われています。
金田一京助が書いた「新編石川啄木」 (講談社文芸文庫)のまえがきに
君と別れて二十有三年、図らずも今、身辺の繋累を伊豆の山に隔て、相模灘の初日影に心の雲を払い、遥かに都門の客を謝してひたぶるに君を偲ぶ(中略)幾度か声を放って空林に泣きまろび、幾度か声をのんで暁の枕をうるおし、啼泣嗚咽、三日三夜、ただただ君を思いつづける
とあることからも金田一の啄木への思いがわかります。
金田一は才能あふれる啄木がかわいくて仕方なかったのかもしれませんね。
まとめ
「啄木鳥探偵處」に登場する石川啄木の生い立ちを紹介した上で、以下の点についてまとめました。
- 石川啄木は19歳の頃からずっとお金に困っていた
- 女好きで、金が入ると娼館に遊びに行っていた
- 北海道で出会った小奴という女性を金で売り飛ばした
- 妻に読まれないようにローマ字日記を書いていた
- 金田一京助とは岩手にいた頃からの親友
- 金田一は啄木のために自分のものまで売り金を用意した
最後までご覧いただきありがとうございました!